あたしは美味しくない!!



「うーん……」

 たしかに、お皿に乗った野菜は彩りのためのもので、サラダって言うほどボリュームがあるわけじゃない。

「これも食えばいい」

 そう言って、ダネルは自分のお皿をあたしに差し出してくれる。お皿に乗っているのはーー

「ハンバーグ?」

 あたしの拳ぐらいの大きさの肉の塊は、肉をそのまま焼いたわけではなく、ちゃんと挽き肉をこねた形状をしていた。
 ソースはかかってないけど、その分しっかりとした焼き目が見えて、火が通ってあるのが分かる。

「豚肉をこねて焼いたものだ。鶏肉が食べられるなら、これも食べられるんじゃないのか?」

「うん!食べられる!」

「なるほど。ミカさんの分を頼んでいたんですね」

「あたしのを?」

「ああ。鳥の目玉を怖がってたあんたが、鳥の目玉を食うとは思えなかったからな」

 ーーあれって、鳥の目玉だったのね……。

「ほら。食べてみろ」

「あ、うん!いただきまーす」

 ナイフとフォークで一口大に切って、口に運ぶ。

「美味しい!」

 ぎゅっと固めずに、ふんわり固めてあるから肉だけでも口当たりが軽い。
 ソースはなくても、スパイスの味がしっかり付いているし、肉自体の旨味もある。
 彩りの野菜もしゃきしゃきして、カインが言うほど苦味も気にならない。

「気に入ったようだな」

「うん!ありがとう!ーーあ、ダネルも、一緒に食べない?」

 すっと、ダネルの方にお皿を寄せる。

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