あたしは美味しくない!!
お買い物は悪魔をお供に!?
店の前で二手に分かれて、今はダネルと二人で大きな通りを歩いている。どうやら商店街らしい。
「ねぇ、なにを買うの?」
少し前を歩くダネルに声を掛けると、ちらとこちらを振り返ってあたしの方へ手を伸ばす。
「まずはもう少し先の店だ。ーーそれより、あまり離れると危ないぞ」
言いながら、あたしの腕をつかんで自分の服の裾まで引き寄せる。
ーー裾をつかんでろってことかな?
見上げてみると、目線だけをこちらに向けてこくりと頷く。
そっと裾をつかんでみると、満足そうに少し笑って、また前を向いた。
「迷子対策ね。……あたしすっごく子供みたいだけど」
ーー実際子供だし、人通りも多いから、はぐれちゃいそうなのも事実だけどね。
「……しっかり持っていろ」
なんだか何か言いたげにじっとつかまれた裾を見ていたけれど、それだけ言って黙ってしまう。
ーーあたしはダネルの心を読めないもんなぁ。
なにを言いたかったのか、ダネルの横顔を盗み見ても、ほんのりと耳が赤いぐらいしか分からなかった。