スイートなメモリー
めぐりめぐる いらだたしいほど
結婚式というのが、こんなに疲れるものだとは知らなかった。
俺は手にしていた荷物を床に置き、ソファに身体を投げ出した。
「いや疲れた。本当に疲れた。こんなことは一生に一度でいいわ」
白くて明るい式場から一転して、俺がいるのは黒っぽくて暗いマンションの一室。
「普通はそんなに何度もないんだよ? 学人くんみたいなことはね」
式場にいたのはまぶしいくらいに真っ白なドレスに身を包んだ美しい花嫁だったが、今俺の目の前でにやにやと笑っているのは、肌こそ白いが着衣は全て黒で固めているSMの女王様。
そしてその傍らに、黒いエナメルのメイド服に身を包んだ彼女の元奴隷。
「そんなことを何度も経験するようなご主人様は色々残念すぎます」
腹が立ったので、俺はメイド服の尻を思い切り平手で叩いてやる。
「ひどい! 学人さんなにするんですか」
結構痛かったのか、涙目で抗議されるが俺は容赦しない。
「人が傷つくのをわかっていて軽口を叩く方が悪い。だいたい美咲、お前と俺とどっちが立場が上かわかってるのか」
美咲は不満げな顔で俺を一瞥してから、彼女の元女王であるところの雪花さんに助けを求める。
「雪花さん、学人さんがえらそうですけど」
雪花女王が美咲を抱きしめて、まるで人形を愛でるように髪を撫でる。
「よしよし。美咲が可愛らしいから、学人君も美咲をいじめるの。それに、立場で言ったら美咲より学人くんのほうがえらいのは確かなのだから、あまり反抗的になってはだめでしょう」
「それはそうなんですけど」
「美咲絶対キャラ変わったよな」
前はもっとしおらしくてやさしくて可愛らしいM女だったぞこいつは……。
俺は手にしていた荷物を床に置き、ソファに身体を投げ出した。
「いや疲れた。本当に疲れた。こんなことは一生に一度でいいわ」
白くて明るい式場から一転して、俺がいるのは黒っぽくて暗いマンションの一室。
「普通はそんなに何度もないんだよ? 学人くんみたいなことはね」
式場にいたのはまぶしいくらいに真っ白なドレスに身を包んだ美しい花嫁だったが、今俺の目の前でにやにやと笑っているのは、肌こそ白いが着衣は全て黒で固めているSMの女王様。
そしてその傍らに、黒いエナメルのメイド服に身を包んだ彼女の元奴隷。
「そんなことを何度も経験するようなご主人様は色々残念すぎます」
腹が立ったので、俺はメイド服の尻を思い切り平手で叩いてやる。
「ひどい! 学人さんなにするんですか」
結構痛かったのか、涙目で抗議されるが俺は容赦しない。
「人が傷つくのをわかっていて軽口を叩く方が悪い。だいたい美咲、お前と俺とどっちが立場が上かわかってるのか」
美咲は不満げな顔で俺を一瞥してから、彼女の元女王であるところの雪花さんに助けを求める。
「雪花さん、学人さんがえらそうですけど」
雪花女王が美咲を抱きしめて、まるで人形を愛でるように髪を撫でる。
「よしよし。美咲が可愛らしいから、学人君も美咲をいじめるの。それに、立場で言ったら美咲より学人くんのほうがえらいのは確かなのだから、あまり反抗的になってはだめでしょう」
「それはそうなんですけど」
「美咲絶対キャラ変わったよな」
前はもっとしおらしくてやさしくて可愛らしいM女だったぞこいつは……。