スイートなメモリー
三枝君がさらに私をせかす。
「黙られたら、分からないよ」
怒らせたい訳じゃない。
でもいきなり謝ったりしたら三枝君だって困るだろう。
なにか言わなくちゃ。
オレンジジュースを一口飲む。
「ごめんなさい。今週、ずっと困らせてたんじゃないか心配だったのよ。無視するような素振りもしちゃってたかもしれないし、もしイヤな感じだったらすごく悪いことしてるんじゃないかと思って。だけど、嬉しかったから仕事はちゃんとしなくちゃと思ったし、ええとええとなんていったらいいんだろう……」
話しているうちにだんだんうつむいてしまって、目の前がぼやけてくる。
ダメだ。
泣いちゃダメだ。
泣くような話じゃない。
ハンドバックからハンカチを取り出そうとして顔を上げたら、三枝君が泣いている私を見て驚いて、そして笑った。
「やっぱり芹香さんは可愛いな」
「かわいいとかいわないでよ……」
怒ってなくて良かった。
「泣くとこ見れて嬉しい」
なにそれ。おかしいわよ。
「だってさ。俺が機嫌損ねてるんじゃないかって心配してくれたんでしょ。それって芹香さんが俺のこと気にしてくれてるからじゃない。それなら俺は凄く嬉しい」
素直に思ったことを言われて、かえってどう返事をしたらいいかわからない。そっとハンカチで目元を押さえながら、私は三枝君が話すのを聞いていた。
「黙られたら、分からないよ」
怒らせたい訳じゃない。
でもいきなり謝ったりしたら三枝君だって困るだろう。
なにか言わなくちゃ。
オレンジジュースを一口飲む。
「ごめんなさい。今週、ずっと困らせてたんじゃないか心配だったのよ。無視するような素振りもしちゃってたかもしれないし、もしイヤな感じだったらすごく悪いことしてるんじゃないかと思って。だけど、嬉しかったから仕事はちゃんとしなくちゃと思ったし、ええとええとなんていったらいいんだろう……」
話しているうちにだんだんうつむいてしまって、目の前がぼやけてくる。
ダメだ。
泣いちゃダメだ。
泣くような話じゃない。
ハンドバックからハンカチを取り出そうとして顔を上げたら、三枝君が泣いている私を見て驚いて、そして笑った。
「やっぱり芹香さんは可愛いな」
「かわいいとかいわないでよ……」
怒ってなくて良かった。
「泣くとこ見れて嬉しい」
なにそれ。おかしいわよ。
「だってさ。俺が機嫌損ねてるんじゃないかって心配してくれたんでしょ。それって芹香さんが俺のこと気にしてくれてるからじゃない。それなら俺は凄く嬉しい」
素直に思ったことを言われて、かえってどう返事をしたらいいかわからない。そっとハンカチで目元を押さえながら、私は三枝君が話すのを聞いていた。