ラッキービーンズ【番外編】
「な、何……ですか、水嶋さん」
小さな声でよそよそしい態度を取ると、その演技の不自然さに水嶋がプッと吹き出す。
「前、聞いてないから大丈夫だよ」
「あ、う、うん」
言われた通りに前を歩く二人を見ると、何鍋にするかで盛り上がっている。
二人とも夢中になっちゃうと周りが見えなくなるタイプだから、確かに後ろにいる私達の会話なんて聞こえてないんだろう。
だけど、私は水嶋みたく上手にオンオフの切り替えなんてできないよ……!
「いつもヤギにあんな風に絡まれてんの?」
「いつもってわけじゃ……、さすがに社内じゃ抱きついてこないし」
「社外じゃ抱きつかれたことあるんだ?」
「……」
さーっと血の気が引いていくのが分かる。
八木原くんとキスまでしちゃったことは、水嶋にはまだ言っていない。
今にして思えば、あのときすでに私は水嶋の彼女だったわけだから、
立派な浮気と呼べる行為だ。
「ご、ごめん……」
「ふーん」
やたら冷たい「ふーん」にまた私の体温が下がる。
こんなことなら事前に話して謝っとけばよかったよー!
小さな声でよそよそしい態度を取ると、その演技の不自然さに水嶋がプッと吹き出す。
「前、聞いてないから大丈夫だよ」
「あ、う、うん」
言われた通りに前を歩く二人を見ると、何鍋にするかで盛り上がっている。
二人とも夢中になっちゃうと周りが見えなくなるタイプだから、確かに後ろにいる私達の会話なんて聞こえてないんだろう。
だけど、私は水嶋みたく上手にオンオフの切り替えなんてできないよ……!
「いつもヤギにあんな風に絡まれてんの?」
「いつもってわけじゃ……、さすがに社内じゃ抱きついてこないし」
「社外じゃ抱きつかれたことあるんだ?」
「……」
さーっと血の気が引いていくのが分かる。
八木原くんとキスまでしちゃったことは、水嶋にはまだ言っていない。
今にして思えば、あのときすでに私は水嶋の彼女だったわけだから、
立派な浮気と呼べる行為だ。
「ご、ごめん……」
「ふーん」
やたら冷たい「ふーん」にまた私の体温が下がる。
こんなことなら事前に話して謝っとけばよかったよー!