ラッキービーンズ【番外編】
拍子抜けはしたものの、水嶋が怒っていないことにホッとした私は、怯える必要もなくなって普通に部屋に戻ることができた。

リアちゃんのことは何も聞けなかったけれど、水嶋の様子からして家に帰ったのかもしれないと勝手に都合よく解釈をしていた。


だから玄関を開けたときにベージュのリボンつきブーツを見た瞬間に、私の足は止まってしまった。


あれ? リアちゃんまだいるんだ……?


やっぱり本気で具合が悪くて、寝室で寝ちゃったのかな……。


どうしよう。


本来ならばもうリアちゃんには本当のことを言うつもりでいた。

水嶋は私の彼氏だから、リアちゃんに協力はできないって。


だけど具合が悪いリアちゃんにわざわざ言うタイミングでもない気もするし。


またしても脳内会議を繰り広げていると、リビングに続くドアからリアちゃんの笑い声が漏れて聞こえてきた。


え、リアちゃん起きてるの?

しかも元気なの?


わけが分からなくなったけれど、私に部屋に戻る以外の選択肢なんてないのは変わらないから、キツネにつままれたような気持ちでおずおずとリビングへのドアを開けた。


「……ただいま」
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