ラッキービーンズ【番外編】
慌ててこたつから立ち上がったけれど、ふと思い出して目の前に座るリアちゃんを見つめた。


「なんですか? メイさん。ニヤけたり、焦ったり、不安そうな顔したり。もしかして酔っ払いですかぁ?」

「……それはリアちゃんだし!」

「えー、あれは演技ですよ! ホントは水嶋さんにお姫様抱っこで運ばれたかったあ」

「ダメ!」

「はやっ。メイさん、カミングアウトしたら強気ですね~」

「ご、ごめん……ってそうじゃなくって! リアちゃんにお願いがあって」

「なんですか~。水嶋さん探しに行くとかカンベンですよ、寒いもん。私もタクシー呼んで帰りますー」

「う、うん。帰るのはいいんだけど……」

「けど?」

「私と水嶋がつきあってること、会社では内緒にして欲しいんだけど」

「あ~、総務のお姉さま方に知られたら、メイさん確実にイジメられますよね!」

「……やっぱり?」

「だって、あの水嶋さんを横から、ひゅーっとさらって行っちゃったんですもん」

「横からっていうか……水嶋とは高校の同級生なんだけどね」

「ええーっ!? じゃあ最初から知り合いだったってことですか!? 知らなかった! メイさん、女優!」

「……でも、会社の人達はやっぱりよく思わないと思うんだよね……」

「そうですねー。ヤギーも泣いちゃうかも」

「いや、八木原くんにはさっきもう言っちゃった……ていうかバレちゃった」
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