ラッキービーンズ【番外編】
リアちゃんと二人で水嶋のマンションを出た。

タクシーで帰るリアちゃんを見送ると、私は一人になった。


吐く息が白い。

こんな寒空の中、水嶋はどこに行っちゃったんだろう。


コートのポケットから携帯を取り出した。

水嶋の番号を呼び出して電話をかけると、いつもとは違う緊張感が襲ってくる。


だって怒ってる状態の水嶋に電話をかけるなんて、初めてだから。


付き合ってるって自覚する前は、水嶋が八木原くんとの仲を誤解して怒ってたことがあったっけ。

あの時、確か思いっきり無視されたんだよねー……。


少し前のことなのにもう懐かしくて、なんだか可笑しくなる。

私は自分の気持ちを自覚してなかったのに、めちゃくちゃショックを受けて落ち込んでて……。


今日もそんな気持ちを味わうのかな。

もうすぐ日付が変わって、クリスマスイブなのに。


一人でいいやって思ってる時と、大好きな人と付き合ってる時とじゃ、寂しさの種類が全然違うよ。


だってなんか、寂しくてもう、泣きそう。

電話、出てくれないのかな。


『--もしもし』


繋がった!


「もっ、もしもすっ!」

『--ぷっ、なんで噛んでんの?』


わ、笑った……!
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