ラッキービーンズ【番外編】
街中から少し離れて高台へと車は登る。

こんなところにツリーなんてあるのかな、と思っていると、山道が開けて高台のてっぺんに、ホテルが姿を現した。


敷地内のロータリーには本物のもみの木が飾り付けられて、キラキラとライトアップされていた。


「わー、すごい! 大きなツリー!」


思わずはしゃぎ声を上げてしまう。


「イルミネーションもいいけど、暗いところに一本だけの大きなツリーってのも綺麗だよな」

「うん! 綺麗!! 穴場ってヤツだよね!?」

「まあ、俺も会社のヤツに聞いたことがあるだけだったけど、口コミで広まってるからそこそこ人いるな」


確かにロータリーにはツリーを見ているカップルが何組も寒空の下、肩を寄せ合っている。

駐車場に車を止めて、私達もツリーのすぐ下まで歩いて行った。


近寄ってみると、もみの木はすごく大きくて、下から見上げるとまた迫力があった。

キラキラ、光の玉が降ってきそう。


それは幻想的な雰囲気で、しばらく上を見たままぼうっとしてしまった。


水嶋が「寒くない?」と肩を抱いてくれる。

大好きな人が隣にいて、こんな素敵なイブを過ごせる。


そのことに感動してなんだかじーんとしてしまった。
< 48 / 68 >

この作品をシェア

pagetop