ラッキービーンズ【番外編】
「お風呂、入りたい……」


雰囲気に流されてキスとかしちゃったけれど、やっぱりどうしたって気になるのがキムチの匂い。

せっかくこんなシチュエーションを用意してくれたんだったら、心おきなく浸りたいのが女心というものだ。


「んー、じゃあ、一緒に入るか」


最初はおあずけをくらって嫌そうな顔をしていた水嶋も、お風呂と聞くといたずらっ子みたいな嬉しそうな表情になった。

そういうホテルじゃないからバブルバスなんて用意されてないし、恥ずかしかったけれど、離れたくないという気持ちの方が勝って、一緒に入ることにした。


「ホラ、メイ頭出して」


水嶋がシャワーを出して私の頭を洗ってくれる。

こんな風にされていると、自分が子どもになったような気分になる。


「自分でやるのに」

「いいからいいから。俺がやりたいの」


鼻歌でも歌いだしそうな上機嫌な声が頭上から降ってくる。

若干、乱雑な手つきで頭をわしゃわしゃと洗われて、頭をぐらぐら揺らしながら、私も楽しくなって笑いをこらえた。


コンディショナーをたっぷりつけてもらって、髪の毛を流されると、今度はボディソープをスポンジで泡立てているのに気づいた。


「ええー、身体はいいよ」

「え、こっからが楽しいところなのに?」
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