ラッキービーンズ【番外編】
「なんかヤダ!」


笑いながらスポンジを奪い合って、二人で泡だらけになった。

日常とは少しかけ離れた、楽しくて特別な時間。


体の洗いっこなんて恥ずかしいけど、相手が水嶋だからまあいいか、なんて。

もうこんな風に心を許せる間柄になってたんだなと改めて実感する。


「やっぱり昔からの知り合いだから?」

「うーん……。水嶋だから?」

「なんだよ、それ。つーかいつになったら名前で呼ぶんだよ」

「えっと……。そのうち?」


長年、苗字で呼んできただけにどうも気恥かしいというか、慣れないんだよね。


「ベッドの上では平気で呼ぶくせに」

「きゃ……っ」


水嶋が意地悪に笑って、私の胸をつかんだ。

泡で滑ってくすぐったい。


最初は冗談で触ったくせに、水嶋は手を離してくれない。

ふにふにと揉まれると、変な気分になりそうで恥ずかしくなった。


「ちょっとやめてよ……」

「やめて? 彼女の胸触って何が悪いの?」


そういえばいつかもこんなこと言ってたな、なんて思っていると熱いシャワーをかけられた。

体を覆う泡が流れていくけれど、それでも水嶋は手の動きを止めてくれない。


「泡プレイも楽しそうだけど、湯ざめしちゃいそうだから」

「もうっ。泡プレイって何」
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