ラッキービーンズ【番外編】
狭いバスタブで、水嶋のひざの上に乗るような格好でお湯に浸かった。

これはこれで密着しすぎで何だか照れる。


「いつもと違う場所だと興奮しねえ?」


耳元で囁かれる声も、バスルームで反響していつもより艶っぽく聞こえるから困る。

だって水嶋が言う事、私にも分かるから。


だけどそんなの恥ずかしくて同意できるわけない。


「ホラ、メイだって……」


言葉にしなくても、身体が反応を返してしまう。

それがバレちゃうのが恥ずかしくて嫌なのに、水嶋は両腕を私の身体に回して、敏感な部分を遊ぶように触る。


「も、そういうの言わないでよ……」

「じゃ、好きだよ」

「え?」

「あ、すげー心臓ドキドキし始めた」


胸に触れていた水嶋は、敏感に私の心音を感じ取ったみたいだった。


「好きだから、メイに触れたい」

「……」

「ダメ?」


ふうっと大きな息を吐いた。あきらめの意味で。

大好きな恋人にそんなこと言われて、ダメだなんて言える女がいたら見てみたいよ。


「水嶋、ズルい……」


私の身体の力が抜けたのがOKの合図だと水嶋は理解したみたいで、あごをすくい上げられて後ろを振り向かされると、激しい口づけが始まった。
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