ラッキービーンズ【番外編】
「ホラ、髪乾かさないと風邪引くだろ」


水嶋が軽くシーツをめくって、私の髪にドライヤーの風を当てる。

私の為に脱衣所から持ってきてくれたみたいだ。


ここまでされたら寝ている体勢のままというわけにもいかなくて、

しぶしぶシーツを胸に巻きつけて半身を起こす。


水嶋もタオルを腰に巻いただけで、裸のままだった。

部屋は空調が効いているから寒くて仕方ないということはないけれど、それでも水嶋の方が風邪引いちゃうんじゃないかと思う。


「自分でやるからいいよ。水嶋も服着ておいでよ……」


さっきまでの熱っぽさは何だったんだろう。

熱くなった身体をもてあましているのは自分だけのような気がして、少し虚しくなった。


ふっと笑われて顔を上げると、水嶋はベッドの上に乗って、そのまま隣にもぐりこんできた。


「今さら服着ろとか、鬼畜じゃねえ?」

「え、だって水嶋そんな気なくなっちゃったのかと思って」


ドライヤーをかけながら、なんでもないフリをして言ってみた。

本当はそれが寂しいって思ってたんだけど。


「だってメイ、いたずらすると怒るじゃん」

「わ」


ドライヤーを髪に当てていて、両手が完全にふさがっている状態の私の背中から、水嶋が抱きついてきた。

両手はしっかりシーツの中にもぐって、胸を触っている。
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