ラッキービーンズ【番外編】
「ん……っ」


暗がりの中で、甘い声が混じった自分の吐息だけがやけに耳につく。

私は目をギュッと閉じて、水嶋のリクエストに必死で応えていた。


「はあ……っ」


胸が苦しくて大きく息を吐きだすと、「ホラもっと頑張って」と水嶋の余裕の声が聞こえてくる。


「メイ、弱いなー。そんな息切れするほど動いてないだろ?」


確かに水嶋は息もたいして乱れてないし、私の運動量もたかがしれてる。


だって速くなんてできない……!


「そんなんでイケんの?」

「うっ、意地悪……!」

「いいね。メイの”意地悪”。クセになりそう」


目を開けて恨めしげに見下ろすと、なんでそんなに楽しそうなのってぐらい上機嫌な水嶋の表情。

実はSだったとか?


自分で動かすと自分の中に彼がいることをよりリアルに感じてしまう。

水嶋は冷静に見てるし、もう恥ずかしくて死にそう。


「ホラ、手伝ってあげる」


手伝うなんて言いながら、動いてくれるわけでもなく、空いた両手で胸をふにふにと揉み始めた。


「やっ、ちょ……っ、そんな手伝い、いらなっ」

「メイちゃん? 完全に動き止まっちゃってますけど」

「やっ、ああっ」


そんなことされたら余計動けない……!
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