ラッキービーンズ【番外編】
「もーしょうがないなー」

「あっ」


私の緩慢な動作に痺れを切らしたのか、上手くできない私に同情したのか、水嶋が私の腰をつかんで動き出した。

突然激しくなった律動についていけずに、ただ目をギュッと閉じて快感の波にさらわれないように耐えるだけだ。


いや、いつも耐えられないんだけど。


「ん、ダメッ」

「いいよ、イッても」


必死で耐える私に水嶋が笑いを含んだ声で囁く。

許された私はあっという間に昇りつめてしまい、そのまま水嶋の胸へくたっと倒れこんだ。


お互いに荒い呼吸を整える。

同時に達した水嶋はすっかり満足したのか、私の裸の背中をポンポンと撫でて、「無理させちゃってごめんな? キツかった?」と労わるように聞いてくれた。


嫌だったわけじゃないから、キツかったなんて言いたくないし、かと言って「気持ちよかったよ」なんて言えるほどくだけたキャラでもない。

融通の利かないのが私で、こんなとき上手い言葉が出てこなくて黙り込んでしまう。


無理じゃなかったということだけは伝えたくて、必死でぶんぶんと頭を振って否定を示した。


「そか。俺はめいっぱいメイを抱けて幸せだった」

「う、うん」


水嶋はたまにすごく甘いセリフを吐く。

素直に育ったんだろうなーと彼の生まれ持った性格をうらやましく思うほどに。
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