ラッキービーンズ【番外編】

クリスマスの朝

夜が明けるまで何度も抱きあって、愛を囁いて触れあって。

こんなに溢れるほどの濃密な愛の時間を過ごしたことは、これまでの私の人生でなかったかもしれない。


水嶋の腕枕でウトウトしていた私は、コンコンとドアをノックする音で目を覚ました。


「おはようございます。ルームサービスでございます」


ドア越しに聞こえる声に二人ともパチッと目を開けて飛び起きた。


「やべっ。俺、ルームサービス頼んだんだった!」

「え、嘘っ。ちょ、ちょっと待ってくださーい」


私がドアに向かって返事をするのと同時に、水嶋がダッシュでバスルームに駆け込んだ。

私も慌ててシーツをまとってよたよたとバスルームに向かう。


手ぐしで頭をとかしても生乾きのままだった、髪の毛はひどい状態。

とても人前に出られる状況じゃない。


「メイはシャワー浴びてから出ておいで」


さっさと服を着た水嶋はそう言って、後ろから私のぐしゃぐしゃの頭をひと撫でするとバスルームを出て扉を閉めた。

ドア越しにルームサービスに応対してくれているのが聞こえる。


どうにかやりすごすことができて、ホッと安堵の息をついた。

ベッドは乱れたままだし、果たしてやり過ごせたかどうかは疑問だけれど。


水嶋の言葉に甘えて、私はシャワーを浴びさせてもらうことにした。
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