渇望の鬼、欺く狐
『それはそうと。お前は生まれつき妖力が強いのかい?』
出会った時にあれだけ衰弱していたにも関らず、今日までしっかりと生き延びている。
それどころか、どんどんと体を肥やし、今では骨が浮き出る事もなくなった。
『うん? 藍のおかげでしょ?』
首を傾げながら返してきた狐――雪に、こちらまで浮かべる事となった疑問。
それに気付いたようにして、雪は先を続けた。
『俺ね、藍に会った時、本当に死にそうだったんだ。もう、何日も飲まず食わずだったし』
『だろうね』
『でもこう……、何て言うのかなぁ。藍の近くに居ると、勝手に体が元気になったと言うか。ご飯とか食べなくても平気になったし』
雪の言葉から推測すると恐らく。
『……お前は私の妖力を、無意識に吸い取ったんだろうね』
鬼である私の妖力は、妖力を持つ動物たちよりもはるかに強い。
自分では気付いてはいなかったけれど、きっと普通に生活しているだけで、妖力を放ってしまっているのだろう。
そしてその妖力を私の傍に居る事で吸い取り、自分の妖力へと変えた雪は、結果的に今日まで生き延びた。
尻尾を四本に増やし、人化の術を覚える程にまで妖力を蓄えて。
出会った時にあれだけ衰弱していたにも関らず、今日までしっかりと生き延びている。
それどころか、どんどんと体を肥やし、今では骨が浮き出る事もなくなった。
『うん? 藍のおかげでしょ?』
首を傾げながら返してきた狐――雪に、こちらまで浮かべる事となった疑問。
それに気付いたようにして、雪は先を続けた。
『俺ね、藍に会った時、本当に死にそうだったんだ。もう、何日も飲まず食わずだったし』
『だろうね』
『でもこう……、何て言うのかなぁ。藍の近くに居ると、勝手に体が元気になったと言うか。ご飯とか食べなくても平気になったし』
雪の言葉から推測すると恐らく。
『……お前は私の妖力を、無意識に吸い取ったんだろうね』
鬼である私の妖力は、妖力を持つ動物たちよりもはるかに強い。
自分では気付いてはいなかったけれど、きっと普通に生活しているだけで、妖力を放ってしまっているのだろう。
そしてその妖力を私の傍に居る事で吸い取り、自分の妖力へと変えた雪は、結果的に今日まで生き延びた。
尻尾を四本に増やし、人化の術を覚える程にまで妖力を蓄えて。