渇望の鬼、欺く狐
「そろそろ上がるか?」
「いやー」
「でも、そろそろ昼寝の時間じゃねぇの?」
……昼寝の時間まで把握してるのか。
ここまで来れば、最早感心よりも驚きの方が上回ってしまう。
いやいやと首を振る旭を片手で抱き上げ、こちらに戻ってきた雪は、持ってきていた布で旭の体を拭いた後、そのまま旭に着物を着せてやっていた。
そこまで終えてから、自分の足を拭いて捲っていた着物を正した雪が、青々とした草に背中を預ければ、それと同時に微かな風が通り抜けて。
頬を撫でた風から心地良さを感じ取る。
いつの間にか、日常と化した光景。
流れる時間は、あまりにも平和を思わせていた。
「ほら、旭も寝んぞ」
「いやー! ばしゃばしゃ!」
「起きてからな」
「いや!」
きっと遊びたい気持ちが強いにも関らず、体は疲れているのだろう。
駄々を捏ねる原因は、旭が眠たいからだろうと理解する。
そんな旭に向けて雪は一つ溜息を漏らし、「仕方ねぇな」と口にした。
「いやー」
「でも、そろそろ昼寝の時間じゃねぇの?」
……昼寝の時間まで把握してるのか。
ここまで来れば、最早感心よりも驚きの方が上回ってしまう。
いやいやと首を振る旭を片手で抱き上げ、こちらに戻ってきた雪は、持ってきていた布で旭の体を拭いた後、そのまま旭に着物を着せてやっていた。
そこまで終えてから、自分の足を拭いて捲っていた着物を正した雪が、青々とした草に背中を預ければ、それと同時に微かな風が通り抜けて。
頬を撫でた風から心地良さを感じ取る。
いつの間にか、日常と化した光景。
流れる時間は、あまりにも平和を思わせていた。
「ほら、旭も寝んぞ」
「いやー! ばしゃばしゃ!」
「起きてからな」
「いや!」
きっと遊びたい気持ちが強いにも関らず、体は疲れているのだろう。
駄々を捏ねる原因は、旭が眠たいからだろうと理解する。
そんな旭に向けて雪は一つ溜息を漏らし、「仕方ねぇな」と口にした。