『私』を知る彼

「そこ、座って」


奥から顔だけ出して『そこ』と指差す。



「……」




突然連れられてきて、「はいどうも」と言えるほど私は若くない。

誰にでも分かる位不審な顔を彼に向ける。




「唐揚げ、嫌だったの?」


全く悪びれることなく『はい』とビールを手渡す彼






「違う。
誰か分からない人とご飯なんて食べられないってコト!」




そう言って、踵を返し出口に向かう。
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