君の背中
翌朝、彼女は自分の部屋へ寄ってから出社するために俺より少し早く目覚める。床に脱ぎ捨てた服を再び身に着けていく姿を、俺は彼女と朝を共にするたび見つめる。
しなやかな首筋から、流れるような腰のライン。スッと浮き出る肩甲骨。
俺に背を向けて着替えるその背中には、彼女が未だ気付かぬ無数の所有印。
彼女は背中の印を皺一つないブラウスの中に隠し、今日も凛とした姿で仕事を華麗にこなしていく。
彼女も知らぬその秘密を見つめ、俺は口元が緩むのを感じた。