鬼の花嫁
だけど、そんな空気にホッと
胸を落ち着かせる余裕なんてなくて
ガタガタと大袈裟に震えてる自分の手足。
風神さんが私を放したら、
今にも崩れ落ちそうな程だ。
「桜…」
「えっと…風神さ…ありがとうございます」
腕を手で押さえるもそんなの意味がなく
大量に流れ出る鮮血…
私の手を伝って、
ポタポタと落ちていく血。
「怪我をしたのか!?」
「え、あっ」
お姫様抱っこをされ、
風神さんの部屋に連れ込まれる。
「あの…風神さ…」
ビリ!っと着物を破いて
私の腕に巻きつける。
「なっ!風神さん!?」
「応急処置だ。すぐ人が来る」
「でも、これじゃ風神さんの着物が……」
「大したことではない」