鬼の花嫁
「来い」
手招きされ、渋々隣に座る。
すると、そっ…と私の手を取り、
いとも簡単にするりと
薬指から指輪がぬけた。
「え…ええっ!!」
な、なんで……!?
どれだけ引っぱっても抜けなかったのに!
驚いた表情で指輪と風神さんを
交互に見ていると
にこりと微笑む風神さん。
「この指輪は付けた者にしか取れないようになっている。どれだけお前が足掻こうが無駄だ」
そう言って、また付け直す。
…もちろん左手の薬指に。