鬼の花嫁








あと少しで真ん丸になりそうな月。



月明かりが夜空を

明るく、美しく照らしている。





「そう言えば、庭にある木…
 あれは桜ですか?」

「ああ、春になると満開になる。
ずっと昔からこの屋敷にあったものだ」





私と同じ名の花は

昔から風神さんの傍にあった……



なんだか笑顔になった





「風神さん、おやすみなさい」

「ああ……」







まだ冬の寒い時期




体が冷えるといけないので

私は静かに障子を閉める




風神さんの綺麗な寝顔を見て

急に胸が締め付けられた






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