鬼の花嫁
最近は毎日、風神さんが
術式を組んだお札を貰って、
一人で人間界と鬼の郷を
行き来できるようになった。
「ただいまっ」
「おかえりなさいませ、姫様」
「あ、刹那。後で制服のボタン…
付けといてくれるかな…?」
「はい!分かりました」
“姫様”
この呼ばれ方にも随分慣れた。
荷物を渡し、
早足で風神さんの部屋へと向かう
すると廊下に座って
煙管を吸う風神さんの姿があった
私の足音に気付いてか
こちらに顔を向ける
「ん…桜か」
「なにをなさってるんですか?」
「外の空気を吸いたくてな…
部屋にこもりきりじゃ気が滅入る」