鬼の花嫁







水流さんにも泣き顔を晒しながら

震える声でそう言った




「泣いてたら美人な顔が台無しよ?
 はやく泣きやみなさいっ」




笑ってそんな事を言ってくれる




「び…美人なんがじゃ…ないでず」




子供のように

顔をグシャグシャにして泣く




こんな泣き方をしたのは

いつ以来だろう





「…姫様、旦那様の戦い、
 見てこられたらどうでしょう?」

「え…?」

「ほな、私らは
 庭の後片付けしとくから…
 桜。風神さんとこ行ってきぃ……」

「ええ。ちゃんと、見届けてきなさい」

「刹那……涼さん…水流さん…」





三人に礼を言ってから、

私は風神さん達の元へ向かった。







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