鬼の花嫁
宿泊
案内されたお風呂は
想像以上のもので……
何十人という人が
入れそうな程大きな大理石の湯船で、
湯には桃色の花びらが浮いている。
月や星空が見える開放的な造りに、
あちこちにある綺麗な飾り物や繊細な細工……
とにかく、広い・綺麗・豪華の
三つの言葉が似合うお風呂
(いや、もうこれは大浴場?)
そんな大きな湯船にポツン―…と一人。
「……あったかい」
花びらを一枚拾い、ふぅーっと息を吐いて
縮こまるように体育座りをする。
「うーむ…」
なに?これ泳いでみるべきなの?
泳いで喜べ的な広さだよ、うん。
バタフライしちゃいたーい。
…出来ないけどね。
そんな事を頭の中で考える私。
いやいや、そんなことじゃなくて
なんか別に考える事あるでしょ。