鬼の花嫁
「失礼します」
ススー…と障子をあけられ、
「此処でございます」と言われたので
ボーっとしながら足を踏み入れる。
「ふん、案外簡単に入ってくるのだな」
その声にバッと顔を上げる。
そこには窓際に座り、
煙管(キセル)を吸う風神さんの姿。
かすかに揺れる漆黒の髪に、
月明かりに照らされる姿はとても綺麗…
「な、なんでここに…」
「俺の部屋だからだ」
は…と小さく息を吐く風神さん。
俺の部屋………
じーっと畳の上に敷かれた
一組の布団をボーっと眺める。
…ん?待てよ?
ちょ…それって……