鬼の花嫁
「桜」
「ふぁい」
パクパクと和菓子を食べていると
名前を呼ばれたので返事をする。
「手を出せ」
「手?」
言われた通り、
そっと右手を差し出す。
「…左だ」
「あ、こっちですか?」
素直に言葉通り左手を差し出すと、
薬指にはめられる
シルバーのシンプルな指輪…
「え…」
カァ…と赤くなる頬
ドキドキと高鳴る鼓動。
「これは俺の印だ。ずっと付けていろ」
じっと見つめられ、
否定の言葉を忘れる