ティアドロップ
「…瑞紀、って……呼んでくれるんですか…?」
ぼそっ、と呟いた。
ほんと、聞こえないくらい。
小さい、変に掠れた声で。
そう訊ねると史哉先輩は、
「…瑞紀が嫌じゃなければ、呼ばせてくれる?」
ああ――、
「…嫌なわけ……ないっ…じゃ、ないですか……」
―――私、罰が当たるかも知れない。
嬉し過ぎて。
暖か過ぎて。
幸せ過ぎて。
こんなの、私みたいな醜い存在が感じちゃいけないだろうに。