ティアドロップ



う、嘘だ!

こんなに爽やかに笑うSなんて信じない!


そんなの実際この日本には存在しない!

恋愛モノの読み過ぎなのかもしれない私は!!




1人で馬鹿みたいにパニくっていると、先輩が「…あ」と声を漏らす。と同時に、電車内にアナウンスが流れる。



「次の駅だねー」


「…そう、ですね」




何事も無かったかのように、私の肩にあった両腕を解く先輩。

そして何事も無いように、私の手を握って人混みを退けてドアの前まで導いた。




< 27 / 131 >

この作品をシェア

pagetop