ティアドロップ
う、嘘だ!
こんなに爽やかに笑うSなんて信じない!
そんなの実際この日本には存在しない!
恋愛モノの読み過ぎなのかもしれない私は!!
1人で馬鹿みたいにパニくっていると、先輩が「…あ」と声を漏らす。と同時に、電車内にアナウンスが流れる。
「次の駅だねー」
「…そう、ですね」
何事も無かったかのように、私の肩にあった両腕を解く先輩。
そして何事も無いように、私の手を握って人混みを退けてドアの前まで導いた。