黒猫*溺愛シンドローム~Plus~
「……え?」
しばらくボーッと。
焦点が合わないのか、どこかをぼんやり眺めていた瞳。
それが私を捉えていた。
うわぁ、ガラス玉みたい。
吸い込まれそう…じゃなくて!
ゆき…?何?誰それ?
今、確かに私をそう呼んだよね?
「……ゆき?」
「はっ?違う。人違い…」
「よかった。戻ってきてくれたんだ?」
「いや…だから、違っ…」
ダメだ。聞いちゃいない。
って言うか、寝ぼけてる?
「もう、いなくなっちゃったのかと思ってた。」
流暢な日本語で…って、
そうじゃなくて!
「だから、私は“ゆき”じゃな…え?」
何?
なんだコレ?
なんでっ??
「会いたかった――」
気づいたときには、
美少年が、
私を抱きしめていた。
はぁっ……?