Troublemaker


近づいていくにつれて、竜さんが棒のようなものを持っているのに気がついた。


「あの、」


「ん?」




横に立つとわたしの方を向く顔を確かに竜さんだった。




「竜さんですよね?」


「へ?まーた、何いっちゃってんの純ちゃん。」



「いや、一応です。それより、何をしているのですか?」


「はぁ?見てわかんないの?釣りだよ、釣り。お魚をとってるんだよ。OK?」



相変わらずムカつく野郎だ。

無駄なドヤ顔。

つか、なんで釣り?!

わたしはこの川にはブラックバスくらいしかいないと聞いたことがある。


「ブラックバスが大量ですね。」


案の定、ボックスの中身はブラックバスらしき魚しかいなかった。

ピチピチ跳ねて、目はわたしをギロリと捕らえた。

ちがうよ、わたしじゃない!

犯人はあの男だ!


そんなに睨まないでほしい。



「ああ。ブラックバスを大量に持ってこいって、ミルフィーヌに言われたんだよ。」


ミルフィーヌさん、今度は一体何をしようとしているのだろうか。

ああ、考えたくもない。

きっとおぞましいことに決まってる。


しかし、この行動に、

竜さんの弱みとかなんとかは関係ないのか。

わたしは弱みが欲しくて近づきたくもないこの男に近づいたんだ。

何も得られない、

ならば用はない!



「ほー。そうですか。竜さんがここにいる理由はわかりました。なので、わたしがここに長居する必要はありません。」


それでは、


と言って

もうダッジュしようとしたら


わたしが走り出すより先に竜さんが走りだして、わたしの腰に手をまわした


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