完成してないLovestory
見るとその子は、すごく可愛い女の子だった。
お嬢様っぽいさくら色のワンピースに栗色のおさげ髪。
本当に【女の子のお手本】という感じの女の子で。
何に困ってんだろ?
私がそんなことを思っていると、女の子はぶつぶつと何かをつぶやいていた。
「困りましたわね・・・
まさか携帯電話を忘れてしまうなんて・・・
これでは家に帰れませんわ」
彼女のひとりごとを聞いてみるに、彼女はなかなかの方向音痴。
しかも服装からしてお迎えが来るほどのお嬢様だということが分かった。
私は見るに見かねて女の子に声をかけた。
「ねぇ、どうしたの? 大丈夫?」
声をかけると女の子は一瞬驚いた。
わぁ・・・驚いた顔もサマになってるなー・・・
私はちょっと負けた気持ちになる。
「あ、あぁ!
申し訳ございません。心配をおかけしてしまって・・・
私、恥ずかしながら迎えの者をよべなくなってしまいまして」
すぐに微笑んでそう答えてくれた。
笑顔可愛い!いいなぁ・・・
あたしもこんな女の子だったらよかったのにー!
そんなことを思いながら私は答える。
「あ、近所?
近くだったら私、送ってあげるよ?」
女の子は目を輝かせる。
「本当ですか?
・・・あの、お手数をかけますが、送ってもらえないでしょうか」
それが最後の望みだと言うように。
私はそんな彼女を断る気もなく。
「わかった!まかせて」
そう言って住所を聞いたのだった。
その住所はすごく近所で。
どうして迷ったのか分からないくらい近くて。
私はあらためて彼女がお嬢様なのだということを知った。
先に送ってあげよっと!
私はそう思って彼女と道を歩き出した。