踏み台の女神
「船を待たせてるんですね。


帰りますか」


安永さんが立ち上がった。


「そうですね」


本当は帰りたくないけれど、私はそう答えた。



安永さんは私の膝からねこさんを抱き上げると、自分のリュックの中にそっとしまった。


リュックの口の部分からねこさんの頭だけ出してジッパーを閉める。
< 171 / 200 >

この作品をシェア

pagetop