踏み台の女神
安永さんとねこさんの間にも、同じようなやり取りがあったのだろうか。


隣に座った安永さんの顔をそっと見た。



優しそうでおっとりとしているけれど

相手が喋っているときには決して口を挟まない話の聞き方や、いたく感心しているのに大袈裟でない相槌の打ち方に

聡明さや品の良さが見え隠れしている気がする。



この人は私と違って、ねこさんに間抜けな質問をぶつけなかったかもしれない。




ねこさんのお陰で、バスに乗っている間は退屈する事も無く、私たちは目的地に着いた。
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