踏み台の女神
「お酒だ!
……さ、座って座って。

こちらは安永さんだよ」



安永さん、と紹介された長身でやや痩せ型の男性は、私より少し年上だろうか。


紺のシャツにジーンズ、よく歩いて少しくたびれたようなスニーカーを履いており、傍らにはリュックが置かれていた。


遠方から遊びに来ている

ねこさんの古い友人だという。



「こんばんは。

初めまして」



青白い暗がりの中にいても、そうと分かるほど

顔にも声にも、柔和な雰囲気がよく滲み出た人であった。
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