踏み台の女神
「私がお嫁に行く家、大人も子供も、それに家畜もいっぱいいる、大きな家なの。

お嫁に行ったら私は毎日

お年寄りや子供の世話をして、家の仕事をして、狩りに出た男の人がケガをしたら手当てもして、それにいつか、赤ちゃんを産むでしょ。

そしたらもう、ここには来られなくなると思う。



私には家族がいるけど、神様はまたひとりぼっちになっちゃう……」


「大丈夫。

いつもここで見守ってるから、さみしくないよ。



きみはとても優しいね。きっと良いお母さんになるよ」


神様はそう言って、女の子の頭をそっと撫でてあげた。


彼女は声を出さずに少しだけ泣いた。
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