運命を恨む愛しの炎
まるで『彼女』を知っているかのような口振り。
恍惚とした深紅は引き込まれそうなほど美しく、ルビーなどがただの石ころと見えてしまうほど魅力的。
その憧憬とされている対象が羨ましく憎い。
おそらく私なんかは知りたくても知り得ない人なんだろう、余計に羨望は募る。
「悪魔に仕えるのが嫌なら、いつだって離れていいんだぞ」
「………」
「それでも死のうとするときは邪魔に入るがな」
「悪魔が、優<よわ>くてよろしいんですか」
悪魔らしからぬくせにあなたは悪魔を名乗る。
自分の駒をこんなにも大切にして、私たちの幸せと生を心から願っているくせに。
「これは優しさじゃない、エゴイズムだ」
それが優しいと言ってるだろうに。