ちょっとみだらではしたない【密フェチ】
「どうせならさ。もっと悪ぃコトしてみれば?」
「もっとって……例えば?」
「そうだなぁ……」
少し考える素振りをしてから、ヒロトは答えた。
「ちょっとだけ。みだらではしたないコトしてみる……とか」
おどけた口ぶりから一変して、急に大人びた声が響く。
「……わかるっしょ?」
こちらを窺う眼差しに鋭さが滲んだ。
さっきまで居心地が良かったのに。
なんだかとても居たたまれない。
「ごめん。ちょっとお手洗い」
微妙な雰囲気に耐えかねて、私はトイレに逃げ込んだ。