「PC捜査官」





切られた電話の後、ツー、ツー、と機械音だけが残っていた。





声も聞かせてもらえないってなんでだよ。




「妙だ。」




俺の隣で伯が言った。




俺にしか聞こえないような小さい声だったから他の皆は気づいてなかった。



「妙ってなんだよ伯」




あえて自分も声を落とす。




伯も気づき、俺達はその場を離れて玄関先に行って話をした。




「妙だと思わないの?」




「妙ってのは…あれか?その、ほら、えーと何だ、」




「わからないなら無理に考えなくてもいいよ。今の君の言動の方が珍妙だし。」




言っても言わなくても罵倒される。
俺年上なんだと思うのに。




「…で?妙ってのは何?」




「犯人の電話だ。」




犯人との音声は全員に聞こえるようにしてあるし、録音もされている。




「もしかして、健太君の声を聞かせなかったことか?」




「そうだ」




と伯は答えたが、正直そこまで妙だと俺は感じ得なかった。




誘拐事件で、実際は誘拐をしていないという真実を隠す為に誘拐犯は誘拐したという人物の声を聞かせないということや、




既に殺害している場合があるからだ。




最悪なのは後者の場合だけど……




そのことを伯に話す。




「いや、実際に犯人は健太を誘拐したと思うね。」




と、断言した。








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