「PC捜査官」
「じゃあ健太君が無事だってこと親御さんに教えてやろう。」
と、コートのポケットに入れていた携帯を出した。
「いや、止めとこう。」
と、伯は言った。
「なんでだよ?」
やっぱり安心させたいだろ、母親の方は明らかに憔悴してるのは見てわかる。
「もし今健太が無事であったとしても、この先どうなるかはわからない。安心させてそれが電話を受けた際、声に出て犯人に知られるのはマズイ。」
「…まぁ、確かに。」
「犯人が健太に危害を加えないのは絶対とは言い切れない。それなのに今それを伝えたら、穏便に済むものも済まなくなる。」
ぐっ…と言葉に詰まった。
確かにその通りだ。
身の代金の用意だって渋る可能性がある。
「というかさ」
明らかに変わった声のトーンにビビる。
あ、コレは来るぞ。
「そんな事も予想できないわけ?刑事じゃないの?よく言う刑事のカンってやつもないわけ?僕はそんな馬鹿みたいなのは信じないけど無さ過ぎるってのも問題だよね。逆に心配になるっていうの?心配する気にもならないけど……」
あぁ…嫌味の嵐だ。
大分この嫌味に慣れたもんだ。
だが右から左へ受け流す事は俺にはできない。
スポンジもビックリするくらい吸収しちゃう。
ああ、俺の素直な心よ!今だけは憎らしいぜ!!