思いが瞬を駆け抜けて~時代を越えた物語~
「…お前には話しておくべきだな。」
「何を…」
「お前は〝意思〟に呼ばれし者__その〝意思〟を生み出した者達の事だ。
いいか、覚悟して聞け。」
家康の瞳の中の悲しみ__ちがう。
憐れみは消えなままで。
それにこの家康の躊躇っている様子。
何なの……?
「___〝意思〟が生み出された大きな根源は他でもない、真田幸村だ。」
「幸村が……?」
家康は黙ったまま頷く。
「じゃあこの時代に私が幸村の元に来たのは……偶然じゃないって事?」
「幸村の無念の思いが周りの無念・後悔を引寄せ、〝意思〟を生み出したんだ。もちろん本人に自覚はない。」
家康は淡々と告げていく。
整理が追いつかない。
でも私は___!
「あなたが言うことは事実なのかもしれない。
だけど私は少なくとも自ら望んでこの時代に来たと思ってるし、幸村の未来を…夢を叶えるために今行動してる。
これは私の意地です。」
家康の目をしっかりと見つめて。
私は自ら言葉を紡いだ。
忘れていた信念を思い出した気がした。
「私は自分の意志でここにいるんです!!」
精一杯の声で叫ぶ。
目を丸くしていた家康だったが、しばらくして大笑いし始めた。
「はっはっはっ!そうか、そうか。お前がこの時代に来たのは確かに必然かもしれないな!」
「……?」
「まあ、後々分かるさ。……それにお迎えも来たようだしな?」
__ツカカカカッ!
家康は言葉を言い終わる前にすでに動いていた。
家康のいた場所には複数のクナイが。
「ほーんと無茶するんだから〜。真琴ちゃんは悪い子だな〜。」
そう言って天井から舞い降りてきたのは…他でもない。
佐助さんだった。
「佐助さん⁉︎なぜここが⁉︎」
「あのねー…真琴ちゃんと源二郎は不器用なの。『海辺でお話ししてきます』って書いてあったけどバレバレだから。」
だいぶムスッとした顔で小言を言ってる佐助さん。
心配したんだろうな……。
「ほら、帰るよ?」
そう言って私をお姫様抱っこして素早い動きで部屋をを後にした。
半蔵が追いかけようとしていたのを家康が止めるのが視界に入った。
家康……まだ何か抱えている。
きっとまた会うんだろうな。