思いが瞬を駆け抜けて~時代を越えた物語~
*side幸村~自室~*
「幸村~っ朝飯だってよ」
「あ、佐助か」
俺の部屋に佐助が入ってきた。
考え事をしてると気付かないものだな…
「ちょっとぉ…俺来たの気付かなかったの?敵方の忍だったらどーすんの。」
「………悪い。」
………佐助の言う通りだ。
敵方の忍だったら殺されてるだろう。
忍を使いなれてる俺が……。
「どうせ真琴ちゃんの事でしょ?」
「…………。」
真琴……。
俺は真琴に負担をかけている。
よりによってお館様の説得なんて……
「真琴ちゃんだってわかってるよ今の状況をね。」
「………。」
「あんたが信じてあげなくて誰がしんじるのさ?」
佐助にはまったく敵わない。
10年も付き合っているだけはある。
「佐助はさすが俺の相棒だな。」
「まーねっ?」
佐助は不敵な笑みを浮かべた。
相変わらずだな、まったく。
__スッ
ふと、襖が開く。
そして、一人の侍女が入ってきた。
「幸村様、昌幸様と真琴様が出立なされました。」
……ついに行ったか。
「わかった。報告ご苦労。」
父上が真琴に頼むくらいだ。
きっとそれほど僅かな可能性に賭けているのだ。
お館様の説得に成功しても失敗しても変わらないことは……。
「戦が近い……俺達もでなければならぬかもしれない。」
そう。
織田との戦は避けられないものとなる。
「佐助。」
「ん?」
「腹を括らないとな……」
「あぁ。」