思いが瞬を駆け抜けて~時代を越えた物語~

デジカメの写真データをあさる。

現代では城跡巡りが趣味だった私は常にデジカメを持ち歩いていた。

城跡に行く度に、城の資料や城郭を撮っていたのだ。


自分の記憶が正しければ……

どこかの城で撮った年表資料の写真があるはず。

__ピッ ピッ

どんどんファイルを見ていく。


あった……!

その写真__年表には、

『1582年 武田家滅亡』

確かにそう書いてある。


「真琴殿、いかがなされた?」

勝頼様が不思議そうな顔で尋ねてきた。

「勝頼様……これを見ていただきたいです。」


そう言って写真を見せる。


「これが武田の未来だと……」

勝頼様の表情には動揺は見られなかった。

……その代わりに瞳の奥には悲しみのようなものが見れた気がした。


「はい。しかし、今ならまだ間に合います!どうか、新府城での籠城を……!」


私は必死に頭を下げた。


「真琴………」


この様子を見ていた昌幸様は言葉を失っていた。


そして。

長くも短くも感じた静寂は。


「真琴どのの意見は分かった。」


勝頼様の一言で破られる。

しかし。


「だが……新府城では籠城せぬ。」

「……。」


私の望む答えは返ってこなかった……












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