月夜の翡翠と貴方


少しの間、青年はその髪を惚けたように見つめていたが、すぐに少女の肩の震えに気がついた。


…怯えて、いる。

それは、先程青年がテントで会った子供達の怯えとは、違うものだった。


自分の容姿を、暴かれる恐怖。

フードを頑固としてとろうとしなかった、少女が。

…今、こんなにも体を震わせて、怯えている。


青年は、そんな少女を静かに見下ろした。


「………そんなに、顔をみられるのが嫌か」


少女は、びく、と肩を震わせて。


「…………はい」


消え入りそうな声で、返事をした。


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