月夜の翡翠と貴方
愛おしさ、依存、笑顔の秘密
噴水公園に行き、パンをかじる。
噴水の前のベンチでふたり、並んで座った。
やっぱり美味しそうにパンを頬張るスジュナは、とてもニコニコとしていて、ご機嫌で。
真後ろで、噴水が音を立てていた。
「…ねぇ、スジュナちゃん」
「ふ?」
パンを口いっぱいに頬張り、大きな瞳を開いて、スジュナはこちらを見上げる。
私は少し目を横に逸らした後、力なく笑った。
「…よかったね。パン、譲ってもらえて」
「うん」
…とても、嬉しそうに笑う。
私は少し迷ってから、またスジュナに視線を戻した。
……やっぱり、知りたい。
「ね、スジュナちゃん」
「なぁに?」
優しく微笑みを浮かべ、私は唇に人差し指を当てる。
「スジュナちゃんとお父さんの秘密を教えてもらったから、私の秘密も教えてあげる」