月夜の翡翠と貴方
説得、大好き、生きるためなら
約束の時間になり、ラサバとスジュナ、ルトと私は劇場近くに集まった。
「えーっと…んじゃ、俺ら行くな」
私とスジュナにそう言うと、ルトは劇場を指差す。
「うん。頑張って下さい」
私の言葉に、ラサバは「はい」と確かな強さで返事をした。
…説得の段取りを、話し合った結果。
まずルトとラサバが、劇団の者たちにスジュナの事を詳しく話す。
基本的にラサバが喋り、足りないところをルトが補う役目だ。
それから約三十分後に、私とスジュナが家のなかへ入る。
私達が入る頃には説明は終わり、あとはスジュナが劇団の人間から色々と問いただされるだろう…
と、いうことになった。
つまりは、ラサバ次第。
私とスジュナが来るまでに、劇団の人間をどこまで説得できるか、である。
けれど、今のラサバならきっとやれる、と私は思った。
自信なさげに下がった眉は変わらずとも、瞳には強い意志が込められていた。
「では、いってきます」