月夜の翡翠と貴方
俺が『あくまでラサバさんのフォローをするだけです』と笑って言うと、今では劇団の女がちらちらと見てくるようになっていた。
…どうでもいいが、少し緊張感に欠ける。
「……ねぇ」
劇団一家で今いちばん若いらしいロゼが、声を上げた。
「…なんか、さっきから混乱してたんだけどさ」
赤茶色のボブを揺らす、強気そうな外見の彼女は、ラサバを見て不服そうな顔をする。
「奴隷屋から買った子なんて…大丈夫なの?」
その言葉に、ラサバの眉が下がった。
…やはり、そこなのだ。
他の劇団員も、ロゼの意見に同意するように、ラサバの返事を待っている。