月夜の翡翠と貴方
「……大丈夫だよ。ラサバさんなら、きっとちゃんと話してくれる」
目を伏せたスジュナは、俯きがちに頷いた。
「………うん」
数時間前まで、太陽のように元気に笑っていた少女の姿が、今ではとても儚く見える。
不安に押しつぶされそうになっているのが、わかった。
「笑って、スジュナちゃん」
私は、スジュナの笑顔が好きだ。
スジュナの頬へ、手を添える。
少し驚いたあと、スジュナはその手に優しく触れた。
愛おしい太陽の笑顔で。
「……うん。ありがとう、おねえちゃん」
わずかに目の淵を潤ませたスジュナは、少し元気を取り戻したようだった。
「スジュナ、頑張るね」
「うん」
今、頑張っているのは、ラサバ。
そしてこのあと頑張るのは、スジュナ。
私もいい手助けができるといいな、と思った。
*
「奴隷となんか、一緒に住める訳ないでしょ!?」
...ジェイドとスジュナが来るまであと数分。