月夜の翡翠と貴方
少女は絶望した。
つまりこの容姿を壊せば、奴隷としての価値さえ無くなるのだ。
…必ず、殺される。壊せば、殺される。
死ぬのは嫌だ。
ならば、私はどうすればよいのだろう。
…もう、感情を殺せばいいのだろうか。
ことあるごとに嫌だと思わず、どうでもよいのだ、と。
こんな身体、好きに使えばいい。
殺されないのなら、それでいい。
その度に傷ついては、心が疲れる。
そう結論に至り、一切の抵抗をやめた。
どうせ、飽きられれば捨てられるのだ。
また新たな奴隷屋へ売られ、新たな主人に買われる。
殺されなければ、それでいい。
少女は、諦めた。
この格差の世界で、幸せを求めることを諦めた。
ただ、生きている事だけを希望とした。